【症例013】シンスプリントの本当の原因
- 丸山稔一

- 6月19日
- 読了時間: 4分

― スネの痛みの背景にあった呼吸と身体のバランス―
高校生のサッカー選手が来院されました。
「スネが痛くてサッカーができません」
というのが主訴でした。
彼は本気でサッカーに取り組んでおり、ほぼ毎日学校で練習をしています。将来はプロを目指しているとのことでした。
同伴されたお母様も息子さんの才能を信じており、親子で目標に向かって努力されている様子が伝わってきました。
サッカーは非常に激しいスポーツです。
一試合で10km近く走り、急激なストップとダッシュを繰り返します。さらにボールを蹴る際には足へ大きな負担がかかります。
今回の患者様は、数か月前からスネの痛みが続き、思うように練習ができなくなっていました。
整形外科ではシンスプリントと診断され、
「しばらく練習を控えるように」
と説明を受けたそうですが、積極的な治療は行われていませんでした。
問診を続けると、スネが痛くなる前に腰痛があり、その時も一時的に練習ができなくなっていたことが分かりました。
さらに病歴を確認すると、
・小児喘息で通院歴がある・現在でも時々呼吸が苦しくなることがある
とのことでした。
視診で見えてきた身体の特徴
問診後、まず立位で身体を観察しました。
横から見ると、身体の軸線(耳・肩・股関節・膝・足底を結ぶライン)が前方へ傾いています。
重心は足のアーチよりかなり前方に位置していました。
後方から観察すると、左肩が下がっています。
さらに身体に触れながら評価を行うと、胸部の下方へ引かれる感覚がありました。
身体全体を評価する
続いて触診を行いました。
確認できたのは、
・左腓骨の可動性低下・左腎臓周囲の緊張・左後方肋骨の著しい可動制限・心膜周囲の強い緊張・肋軟骨の硬さ
などでした。
最後に痛みのあるスネを確認すると、本気でサッカーに取り組んでいることが伝わるような、非常に発達した筋肉の中に強い圧痛がありました。
しかし、その部分は直接施術する状態ではないように感じられました。
ここまでの評価で、身体全体のつながりが見えてきました。
施術
施術ではまず胸郭全体にアプローチしました。
前後方向、左右方向、それぞれの動きを丁寧に整えていきます。
続いて左腎臓周囲の緊張を解放し、最後に微細な可動制限が残っていた左腓骨を調整しました。
施術として行ったのはこれだけです。
スネの痛みに対して直接的な施術は行いませんでした。
施術後に再び立位を確認すると、
・前方へ傾いていた軸線が改善・左肩の下がりが改善
していました。
身体全体のバランスが大きく変化していたのです。
2週間後の変化
2週間後、再度来院されました。
まず最初に、
「スネの痛みはどうですか?」
と伺いました。
すると、
「あれから全く痛みはなくなりました」
とのことでした。
さらに、
「呼吸がとても楽になりました」
とも話してくださいました。
私にとって印象的だったのは、この呼吸の変化でした。
今回の症例では、スネの痛みだけでなく、呼吸機能の改善も身体全体が変化したことを示す重要なサインだったと考えています。
この症例から学んだこと
患者様の身体が発しているメッセージを丁寧に聞くこと。
痛みを作っている原因は何か。
そして、その原因がどのように症状とつながっているのかを考えること。
これがオステオパシーの基本的な考え方です。
痛みを作っている原因は、必ずしも痛い場所にあるとは限りません。
今回のシンスプリントも、スネだけの問題ではなく、
・呼吸・胸郭・腎臓周囲の緊張・姿勢バランス
など、身体全体のつながりが関係していた症例でした。
オステオパシーでは、症状だけを追いかけるのではなく、身体全体を評価しながら施術を行います。
同じシンスプリントであっても、その背景にある原因は人によって異なります。
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