【症例015】顔面神経麻痺とめまい
- 丸山稔一

- 6月19日
- 読了時間: 3分
更新日:6月22日

― 医療とオステオパシー、それぞれの役割を学んだ症例 ―
来院時の状態
ある日曜日、知人の方から急なご相談をいただきました。
症状は、
・顔面神経麻痺・歩行時のふらつき・バランスが取りにくい・左耳周囲や首の違和感
でした。
すでに内科・耳鼻科を受診され、MRI検査も実施済みで、脳梗塞など緊急性の高い疾患は否定されていました。
来院時には左眼が十分に開かず、口元にも左右差がみられました。また歩行時の不安定さもあり、ご本人も大きな不安を抱えている様子でした。
初回の評価
まず全身の状態を丁寧に評価しました。
下肢の筋膜の緊張、呼吸の左右差、腹部の緊張、頭蓋や頸部の動きなどを確認したところ、
・左下肢の緊張・上腹部の強い緊張・後頭部から頸椎周囲の制限・側頭骨周囲の緊張
などが認められました。
そこで、
・後頭部と頸椎周囲の緊張緩和・頭蓋周囲の循環への配慮・横隔膜や自律神経系へのアプローチ・全身の緊張を和らげる施術
を中心に行いました。
施術後には、
・左眼の開きの変化・歩行の安定感の向上・呼吸のしやすさ・表情や顔色の変化
などがみられました。
その後の経過
数日後、偶然道でお会いした際には、小さなお子様を連れて以前より安定して歩かれている姿を見ることができました。
さらに2回目の施術時には、
・歩行の安定・顔面の左右差の軽減・全身の緊張の減少
が確認されました。
一方で耳鼻科から大学病院での精密検査を勧められ、専門的な評価が行われることとなりました。
大学病院での診断
精査の結果、
ラムゼイハント症候群(帯状疱疹ウイルスによる顔面神経炎)
との診断がなされました。
MRIでは顔面神経周囲から前庭神経にかけて炎症所見が確認され、めまい症状の原因も説明されました。
また神経機能検査では、神経へのダメージが比較的大きいことも示されました。
治療として、
・ステロイド療法・ビタミンB12製剤・めまいに対する薬物療法
などが開始されました。
現在の経過
その後、患者様からは
「薬の治療によって少しずつ回復してきています」
とのご連絡をいただいています。
めまいにはまだ波があるものの、全体として改善傾向がみられています。
この症例から学んだこと
今回の症例は、私自身にとっても非常に学びの多い経験となりました。
オステオパシーでは、身体全体の緊張や循環、自律神経の状態を評価し、身体が本来持つ回復環境を整えることを目指します。
一方で今回のような神経そのものの炎症に対しては、医学的な診断と治療が極めて重要です。
私は近年、
「探しすぎない」「邪魔をしない」「深呼吸する」
ということを大切にしています。
身体には本来、自ら回復しようとする力があります。
施術者の役割は、その力を無理に引き出そうとすることではなく、回復の妨げとなっているものを丁寧に観察し、必要最小限のサポートを行うことだと考えています。
今回の症例は、医療とオステオパシーがそれぞれの役割を果たしながら患者様を支えることの大切さを、改めて教えてくれた症例でした。
今後も経過を見守りながら、必要なサポートを続けていきたいと思います。
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