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【症例019】ふくらはぎが痛いんです

  • 執筆者の写真: 丸山稔一
    丸山稔一
  • 7月3日
  • 読了時間: 4分

更新日:7 日前




しゃがむと痛む左ふくらはぎ

― 痛む場所だけを見ないオステオパシーの視点 ―


定期的なメンテナンスで来院されている40代女性の患者様です。

これまで頭痛や首の痛みなど、その都度さまざまな症状に対して施術を行ってきました。

以前、

「なぜ治療すると身体が変わるのですか?」

というご質問をいただいたことがあります。

その際、骨模型を使いながら身体の構造やオステオパシーの考え方を簡単にご説明したところ、大変興味を持ってくださり、現在では定期的な身体のメンテナンスを目的に通院されています。

今回のご相談は、左ふくらはぎの痛みでした。

「膝を深く曲げて、お尻が床につくくらいしゃがむと、左ふくらはぎが痛みます」

さらに、

「それだけではなく、左脚全体に何とも言えない嫌な感じがあります」

とのことでした。

日常生活では大きな問題はないものの、深くしゃがみ込む動作によって症状が再現される状態でした。

以前に受けた施術について

お話を伺う中で、興味深い経緯がありました。

来院前に、私の出身校で行われていたインターン生の臨床実習に、患者役として参加されたそうです。

問診は非常に丁寧だったとのことですが、限られた実習時間の中で評価と施術が行われました。

立ち会っていた指導オステオパスからは、内臓由来の問題の可能性を指摘され、その部分への施術を受けたそうです。

施術直後から翌日にかけては少し楽になったものの、その後は元の状態へ戻ってしまったとのことでした。

この経過も踏まえ、改めて身体全体を評価することにしました。


身体はどのような状態だったのか

まず座位で触診すると、

  • 左肋骨の軽度の後方変位

  • 左腸肋筋の緊張

  • 骨盤のわずかな後方偏位

が確認されました。

視診では、左肩がわずかに下がっています。

さらに下肢を評価すると、

  • 左足根部の可動性低下

  • 左ふくらはぎの筋膜の硬さ

  • 左大腿外側の強い緊張

  • 脛骨・腓骨・膝関節周囲の機能障害

が認められました。

ここで重要なのは、痛みのある「ふくらはぎ」だけを診るのではなく、身体全体を一つの連続したシステムとして考えることです。


痛みの原因は「ふくらはぎ」だけではない

今回の症状では、

  • 前面の筋膜ライン

  • 後面の筋膜ライン

  • 外側の筋膜ライン

これらが左下肢全体で緊張している状態が土台にあると考えました。

さらに、安静時ではなく特定の動作で痛みが出現することから、

  • 距骨

  • 舟状骨

  • 立方骨

  • 腓骨

  • 膝関節

などの関節機能も詳しく評価しました。

検査の結果、

  • 距骨の上方変位

  • 舟状骨・立方骨の可動制限

  • 腓骨頭の機能障害

  • 脛骨の外旋

  • 内側半月板の可動制限

が確認されました。

施術について

まずは左肋骨と腸肋筋へのアプローチを通じて、全身の筋膜の緊張を整えていきました。

その後、

  • 腓骨

  • 距骨

  • 舟状骨

  • 立方骨

  • 膝関節周囲

の調整を行いました。

施術後、痛みが出ていたしゃがみ込み動作を再度確認していただきました。

すると、

「全く痛くありません」

さらに、

「今度は右の方が曲げにくいくらいです」

とのことでした。

そこで右側の胸郭と筋膜の状態も確認し、必要な調整を追加しました。

再度しゃがみ込み動作を行っていただくと、痛みも違和感も認められませんでした。


今回の症例から学んだこと

今回、評価から施術終了まで、それほど長い時間はかかりませんでした。

しかし、その背景には、

一つひとつの関節を正確に評価する知識。

機能障害を見極める技術。

そして、身体を一つの連続したシステムとして理解する視点。

それらが必要になります。

私が学んだATスティルアカデミーでは、

「羅針盤を持たずに航海に出ることは無謀である」

という言葉があります。

しかし同時に、羅針盤の見方だけを学んでも航海はできません。

知識と技術、そして経験。

その積み重ねの大切さを、改めて感じさせてくれた症例でした。

症状のある場所だけでは説明できないことが、身体には少なくありません。

今後も身体全体のつながりを大切にしながら、丁寧な評価と施術を続けていきたいと思います。


丸山オステオパシー治療院では、

症状だけを見るのではなく、

身体全体のつながりを大切にしながら評価と施術を行っています。


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