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【症例023】咳喘息・首の痛み・目の乾燥

  • 執筆者の写真: 丸山稔一
    丸山稔一
  • 7月24日
  • 読了時間: 5分

胸郭から全身を診るオステオパシーの評価と施術


「症状が違っても、身体の中ではつながっていることがあります」


50代の女性患者様です。


この患者様は長年当院に通われており、現在は2か月に一度の定期メンテナンスを続けています。


初めて来院された頃は、胃の不調や逆流性食道炎、強い咽頭部の違和感に悩まれていました。


さまざまな医療機関を受診しても改善がみられず、当院へたどり着かれたそうです。


5〜6回の施術で症状は落ち着き、改善を実感された際に涙を流して喜ばれた姿が、今でも印象に残っています。


今回は久しぶりの来院でした。


訴えられた症状は、


* 咳喘息

* 目の乾燥

* 首を動かした時の痛み


でした。


「目は眼科へ、咳喘息は呼吸器の専門医へ、首は整体へ行こうと思っています。」


そうお話しくださいました。


私は、


「医師の診断を受けることはとても大切です。」


とお伝えしたうえで、


「首を強く捻るような施術は、十分な評価なしにはお勧めできません。」


と私の考えをお話ししました。


そして、


「今日は改めて全身を評価し、私にできることを丁寧に行っていきましょう。」


と施術を始めました。


局所ではなく、身体全体を評価する


最初に座位で背部を触診すると、左肋骨には縮こまるような硬さが感じられました。


肋骨には多くの筋肉が付着し、特に肋間筋は呼吸を助ける重要な筋肉です。


咳喘息や首の痛みを考えるうえで、胸郭の動きを確認することは欠かせません。


さらに胸郭は筋膜の連続性が集まる場所でもあり、全身の機能を評価する上で重要なポイントになります。


呼吸テストでは左下部肋骨の可動性低下がみられました。


一方、胸膜そのものを評価するテストでは大きな異常は認められず、問題の中心は筋膜や胸郭全体の動きにある可能性を考えました。


立位では軽度の左右バランスの乱れがみられ、仰向けでの検査では関節に大きな問題はありませんでしたが、筋膜ではラテラルラインとディープフロントラインに緊張がみられました。


さらに評価を進めると、


* 横隔膜

* 十二指腸

* 膵臓

* 右胸郭

* 脈管鞘

* 頸椎

* 後頭下筋群

* 左側頭骨

* 左前頭骨


などに連続した機能的な制限が確認されました。


首だけを診るのではなく、身体全体のつながりとして症状を理解することが大切だと考えました。




身体が本来の動きを取り戻せるように


施術では、まず横隔膜と胸郭の動きを改善し、ラテラルラインやディープフロントラインの緊張を丁寧に整えていきました。


続いて肋間筋や胸郭全体の可動性を回復させ、縦隔や心膜周囲の組織、脈管鞘、頭蓋の機能を一つずつ確認しながら施術を進めました。


最後に、口腔内から翼口蓋神経節周囲へ穏やかなアプローチを行い、治療を終了しました。


施術後に再評価すると、左肋骨の硬さは軽減し、立位でみられた身体の傾きも改善していました。


患者様に首の状態を伺うと、


「もう痛くありません。」


と笑顔で答えてくださいました。


さらに、


「呼吸がとても楽です。」


という言葉もいただきました。


一方で、咳喘息や目の乾燥については、引き続き専門医での診察をお願いしました。


身体の機能改善に取り組むことと、医療機関で適切な診断を受けることは、どちらも大切だと考えています。


今回は通常より少し早めに、一か月後の再評価をお願いしました。



考察|胸郭は頸部と呼吸をつなぐ重要な場所


首の痛みがあると、首だけに原因があるように思われることがあります。


しかし実際には、胸郭や横隔膜の動きが低下すると、呼吸を助けるために首の筋肉が過剰に働き、結果として頸部へ負担が集中することがあります。


今回の症例でも、胸郭と横隔膜の機能改善に伴い、首の痛みと呼吸のしやすさに変化がみられました。


もちろん、すべての症状が同じ原因とは限りません。


だからこそ、一つの症状だけを見るのではなく、身体全体の機能を丁寧に評価することが重要だと考えています。


臨床メモ


今回の症例から学んだこと


* 頸部症状では胸郭の可動性を必ず評価する。

* 横隔膜は呼吸だけでなく姿勢や頸部機能にも影響を与える。

* 胸郭・縦隔・頭蓋は機能的につながり、一つのシステムとして考えることが大切である。

* 咳喘息やドライアイなどは医師による診断を受けながら、身体機能の改善を目指すことが重要である。


今回の学び


私がフランスでオステオパシーを学んでいた頃、国家試験では「頸部に症状があるからといって、十分な評価を行わずに頸椎へ直接アプローチすること」は認められませんでした。


そのような判断をすれば不合格となり、試験官から「なぜその治療を選択したのか」を長時間にわたり問われます。


私もその場面を目の当たりにし、診断とは「どこを治療するか」を決める前に、「なぜそこに負担がかかっているのか」を考えることの重要性を深く学びました。


現在もその考え方は変わりません。


症状だけを追うのではなく、身体全体のつながりを丁寧に評価し、その方にとって最も負担となっている機能障害を見極めること。


それが、安全で納得のいく施術につながると考えています。


丸山オステオパシー治療院では、

症状だけを見るのではなく、

身体全体のつながりを大切にしながら評価と施術を行っています。


お困りの症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

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