[症例001]【両手の指が握れない】神経症状と向き合った6回のオステオパシー治療
- 丸山稔一

- 1 日前
- 読了時間: 3分

ある日、「両手の指が握れなくなってきた」という患者様が来院されました。
事前のメール相談では、
「手が握れない」という運動機能に関わる症状だったため、まず病院、とくに脳神経系の検査を受けるようお願いしました。
大学病院の総合診療科で血液検査などを受けたものの、明確な原因は分からず、
「病院では治療のしようがないと言われた」とのことで来院されました。
フランスで学んだ際、
「運動神経に関わる問題は、まず医療機関の責任範囲である」
と繰り返し教えられました。
そのため今回も、まず医療機関での評価を優先していただきました。
その上で、患者様が困っておられ、他に行き場がないという状況の中で、
身体全体を丁寧に診させていただくことにしました。
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初回の印象は、身体だけでなく表情にも強い緊張感がある状態でした。
検査を進めていくと、
・頚椎右側の連続した硬さ
・右胸郭前面の制限
・右鎖骨周囲の可動性低下
・頭蓋の緊張
・腹部、内臓の硬さ
などが見られました。
特に印象的だったのは、
頭蓋から頚部にかけての硬膜系の緊張です。
身体は部分ごとに存在しているのではなく、
頭から仙骨まで膜や神経、自律神経を通して連続しています。
今回は、
「筋力そのものの問題」というより、
“神経が働きやすい環境が乱れている”
そんな印象を受けました。
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治療では、
強く押したり矯正することは行わず、
・胸郭
・頚部
・頭蓋
・内臓
・横隔膜
・仙骨
などの動きや緊張を丁寧に整えていきました。
すると数回の治療の中で、
「少し握れる日が出てきた」
という変化が現れ始めました。
さらに治療を重ねる中で、
・手の温度
・皮膚の柔らかさ
・握る力
・姿勢の安定感
にも変化が見られるようになりました。
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特に印象的だったのは、
奥様のお話です。
「以前は表情がなく、少し鬱っぽくなっていた」
「最近はテレビを見ながらツッコミを入れるようになった」
身体の回復とともに、
その人らしさも少しずつ戻っていく。
これは臨床の中で何度経験しても、深く考えさせられます。
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最終的には、
左右とも正常に握れる状態まで回復されました。
最後に残っていたのは、
肩の動きに関する軽い制限だけでした。
そこを整えた時点で、
「これ以上の治療の必要性はない」
と判断しました。
次回予約は不要とお伝えすると、
患者様はとても安心された表情をされていました。
後日、
「調子が良いため予約をキャンセルしたい」
というメールをいただきました。
その時、
“今回の仕事は終わった”
と感じました。
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私がフランスで学んだ際、
強く心に残った言葉があります。
「最大限の治療をしても、決して患者を依存させてはいけない」
今でも大切にしている言葉です。
治療とは、
患者様が自分の人生へ戻っていくための手助けであり、
治療院につなぎ止めることではない。
今回の症例を通して、
改めてその大切さを感じました。
身体はとても奥深く、
そして人の回復力には驚かされます。
これからも丁寧に、
一人ひとりの身体と向き合っていきたいと思います。



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