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【症例001】両手の指が握れない

執筆者の写真: 丸山稔一
丸山稔一
5月28日
読了時間: 3分

更新日:6月11日

CASE 001
病院で原因不明
両手の指が握れない

神経症状と向き合った6回のオステオパシー治療


ある日、「両手の指が握れなくなってきた」という患者様が来院されました。


事前のメール相談では、

「手が握れない」という運動機能に関わる症状だったため、まず病院、とくに脳神経系の検査を受けるようお願いしました。


大学病院の総合診療科で血液検査などを受けたものの、明確な原因は分からず、

「病院では治療のしようがないと言われた」とのことで来院されました。


フランスで学んだ際、

「運動神経に関わる問題は、まず医療機関の責任範囲である」

と繰り返し教えられました。


そのため今回も、まず医療機関での評価を優先していただきました。


その上で、患者様が困っておられ、他に行き場がないという状況の中で、

身体全体を丁寧に診させていただくことにしました。


⸻


初回の印象は、身体だけでなく表情にも強い緊張感がある状態でした。


検査を進めていくと、


・頚椎右側の連続した硬さ

・右胸郭前面の制限

・右鎖骨周囲の可動性低下

・頭蓋の緊張

・腹部、内臓の硬さ


などが見られました。


特に印象的だったのは、

頭蓋から頚部にかけての硬膜系の緊張です。


身体は部分ごとに存在しているのではなく、

頭から仙骨まで膜や神経、自律神経を通して連続しています。


今回は、

「筋力そのものの問題」というより、


“神経が働きやすい環境が乱れている”


そんな印象を受けました。


⸻


治療では、

強く押したり矯正することは行わず、


・胸郭

・頚部

・頭蓋

・内臓

・横隔膜

・仙骨


などの動きや緊張を丁寧に整えていきました。


すると数回の治療の中で、


「少し握れる日が出てきた」


という変化が現れ始めました。


さらに治療を重ねる中で、


・手の温度

・皮膚の柔らかさ

・握る力

・姿勢の安定感


にも変化が見られるようになりました。


⸻


特に印象的だったのは、

奥様のお話です。


「以前は表情がなく、少し鬱っぽくなっていた」

「最近はテレビを見ながらツッコミを入れるようになった」


身体の回復とともに、

その人らしさも少しずつ戻っていく。


これは臨床の中で何度経験しても、深く考えさせられます。


⸻


最終的には、

左右とも正常に握れる状態まで回復されました。


最後に残っていたのは、

肩の動きに関する軽い制限だけでした。


そこを整えた時点で、

「これ以上の治療の必要性はない」

と判断しました。


次回予約は不要とお伝えすると、

患者様はとても安心された表情をされていました。


後日、

「調子が良いため予約をキャンセルしたい」

というメールをいただきました。


その時、

“今回の仕事は終わった”

と感じました。


⸻


私がフランスで学んだ際、

強く心に残った言葉があります。


「最大限の治療をしても、決して患者を依存させてはいけない」


今でも大切にしている言葉です。


治療とは、

患者様が自分の人生へ戻っていくための手助けであり、

治療院につなぎ止めることではない。


今回の症例を通して、

改めてその大切さを感じました。


身体はとても奥深く、

  • そして人の回復力には驚かされます。


これからも丁寧に、

一人ひとりの身体と向き合っていきたいと思います。


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