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【CASE030】左足首の不調と上がらない右肩

執筆者の写真: 丸山稔一
丸山稔一
7 時間前
読了時間: 7分


身体全体のつながりを考えるオステオパシーの症例


「左足首の調子が悪くて……。それに最近は右肩も上がらなくなり、腕にも痛みが走るようになりました」

今回ご相談いただいた患者様は、長く続く左足首の不調に加え、最近では右肩や腕にも痛みが現れるようになっていました。

足首と肩。

一見すると関係のないように思える二つの症状ですが、身体全体の動きやバランスを確認することで、新たに見えてくることがあります。

今回は、局所だけでなく身体全体のつながりを評価しながら施術を行った症例をご紹介します。


左足首の不調は、以前の外傷から

左足首の不調は、昨年、階段で足を踏み外すような形になったことがきっかけでした。

つま先が不自然な角度で接地した状態で体重がかかり、足首に強い痛みが走ったそうです。

すぐに医療機関を受診し、レントゲン検査では骨折は認められなかったものの、超音波検査では靱帯の損傷が疑われました。

その後、取り外しのできる固定具を約3か月使用し、足首の動きを取り戻すためのリハビリを続けてこられました。

ある程度の回復は見られたものの、違和感は残っていました。

「足を地面についたとき、外側がきちんと接地していないような感じがする」

「まだ少し痛みもある」

リハビリを継続しても、思うように改善が進まない状態だったそうです。


最近になって右肩にも痛みが

さらにお話を伺うと、最近になって右肩にも痛みが現れていました。

腕を前方から上げる動作は何とかできるものの、左肩と比べると十分に上がりません。

横から腕を上げようとすると痛みが生じ、90度を超えたあたりから動かしにくくなる状態でした。

右腕に痛みが走ることもあり、医療機関でレントゲンやMRI検査を受けていましたが、画像検査では特に問題を指摘されなかったとのことでした。

画像検査によって重大な異常の有無を確認することは、とても大切です。

そのうえで今回は、身体を実際に動かしたときの制限や、全身の機能的なバランスに着目しました。


まずは身体全体の状態を確認

オステオパシーでは、症状のある場所だけでなく、身体全体の状態を評価することを大切にしています。

今回も、座った姿勢、立った姿勢、仰向けの姿勢などから全身を確認しました。

触診では、首から肩にかけて広がる僧帽筋に強い緊張が感じられました。

肩こりについて伺うと、以前から強い肩こりを感じているとのことでした。

さらに、背部の腸肋筋の緊張、骨盤周囲の左右差、仙骨周囲の機能的な偏りなどを確認しました。

足関節には左右でわずかな動きの違いがあり、身体の外側を走る筋膜のつながりにも制限が感じられました。

また、腹部全体に張りがあり、特に横隔膜周囲の硬さが目立ちました。胸郭や縦隔、心膜周囲についても、触診上の動きの制限を確認しました。

右肩では、肩峰周囲の動きに大きな問題は感じられなかった一方、腕を外側に回す「外旋」という動作には明らかな抵抗がありました。

こうした評価から、肩だけを施術するのではなく、胸郭、肋骨、広背筋、筋膜のつながりなどを含めて考える必要があると判断しました。


足首の問題を、一つの関節だけで考えない

全身の評価を終えた後、左足首を詳しく確認しました。

足首の角度や動かす方向を変えながら調べると、距骨、舟状骨、立方骨、腓骨など、複数の部位に動きの制限が感じられました。

足首は一つの骨や関節だけで働いているわけではありません。

多くの骨や関節が協調して動くことで、立つ、歩く、体重を支えるといった動作を可能にしています。

今回の場合、外傷後の固定や、その後の動作の変化なども考慮しながら、足部全体の動きと荷重の仕方を確認することが重要だと考えました。


右肩の動きと胸郭・肋骨の関係

右肩についても、肩関節そのものだけでなく、広背筋、肋骨、筋膜、肩関節包などを確認しました。

肩甲骨は胸郭の上を滑るように動いています。

そのため、肋骨や胸郭の動きが制限されると、肩甲骨や肩関節の動きにも影響する可能性があります。

今回は、左足首から骨盤、体幹、胸郭、肩甲帯へと、身体全体の動きのつながりを一つずつ確認していきました。

ただし、左足首の外傷が右肩の痛みを直接引き起こしたと断定できるものではありません。

複数の部位に見られた機能的な制限を、全身の関係性という視点から評価することが大切だと考えています。


実際の施術と施術後の変化

施術では、まず胸郭や肋椎関節、身体外側の筋膜、腸肋筋などに対して、穏やかな手技で働きかけました。

続いて左足首では、腓骨、距骨、立方骨、舟状骨、踵骨など、それぞれの動きを確認しながら施術を進めました。

さらに、横隔膜や胸郭、縦隔・心膜周囲の組織についても、触診で感じられた制限を確認しながら調整しました。

右肩では、広背筋や肋骨、肩関節包などに着目し、痛みや可動域の制限に配慮しながら慎重に施術を行いました。

最後に仙骨周囲を確認し、全身の状態を再評価しました。

施術後、患者様に再び腕を上げていただきました。

前方から、そして横から。

施術前には制限されていた右肩の動きが、その場で大きく改善している様子が確認できました。

肩周囲の僧帽筋も、施術前より柔らかく感じられました。

続いて立ち上がり、歩いていただくと、

「はい。全く問題なく歩けます」

とのことでした。

さらに、

「息がとても楽です」

という言葉もいただきました。

施術前には小さな声で話されていた患者様でしたが、お帰りになる頃には声にも少し力が感じられました。

もちろん、一度の施術で得られた変化だけをもって、長期間続いていた症状が完全に解決したと判断することはできません。

そのため、施術後の経過を確認し、必要に応じて再評価を行うため、2週間後の来院をご案内しました。


今回の症例から改めて学んだこと

今回の症例を通して、改めて感じたことがあります。

それは、身体は「足」「肩」「腰」と、それぞれ独立して存在しているわけではないということです。

左足首の外傷、その後の固定、歩き方や荷重の変化、骨盤や体幹の働き、胸郭や肩甲帯の動き。

これらは互いに関係し合っている可能性があります。

だからこそ私は、まず身体全体を捉える「グローバルな評価」を行い、その後に個々の関節や組織を確認する「スペシフィックな評価」を大切にしています。

重要なのは、単に検査項目を確認することではありません。

「この身体の中で、今、何が起きているのだろう?」

そう問いかけながら、身体の動きのつながりを追っていくこと。

そして、施術後にもう一度動いていただき、最初に立てた仮説と実際の変化を照らし合わせることです。

評価 → 推論 → 施術 → 再評価

この繰り返しこそが、臨床において大切だと感じています。

一つの症状だけを見るのではなく、その背景にある身体全体のつながりを丁寧に探していく。

今回も、身体を動的に捉えることの大切さを改めて学ぶ機会となりました。

これからも、一人ひとりの身体の状態と真摯に向き合い、丁寧な評価と施術を続けていきたいと思います。

※本記事は、個人が特定されないよう一部の状況を調整した症例紹介です。施術による変化には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。痛みや運動制限が続く場合は、医療機関での診察・評価も重要です。


丸山オステオパシー治療院では、

症状だけを見るのではなく、

身体全体のつながりを大切にしながら評価と施術を行っています。


お困りの症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

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