top of page

【CASE029】なぜ両膝の痛みは戻ったのか

執筆者の写真: 丸山稔一
丸山稔一
1 日前
読了時間: 7分


―再評価から見えてきた「全身の緊張」―


両膝の痛みで、女性が来院されました。

最初に痛みが現れたのは左膝。その後、右膝にも痛みを感じるようになったとのことでした。

以前にも当院で施術を受けたことがあり、今回は久しぶりの来院です。

しかし、身体を確認してみると、気になったのは膝だけではありませんでした。


身体全体に強い緊張があり、特に頭蓋周囲の緊張が強く、最初は十分な検査ができないほどだったのです。


私はここで、すぐに膝だけを治療するのではなく、

「まず全身の緊張を落とし、この方の身体が本来どのような状態にあるのかを確認する必要がある」

と考えました。

※プライバシー保護のため、年齢や来院時期など、症例の本質に影響しない一部の情報を変更・簡略化しています。


1回目――膝だけを追わず、まず全身を診る

左膝周囲を確認すると、距骨、腓骨、脛骨の回旋、ヒラメ筋などに機能的な問題がみられました。

右側にも舟状骨や腓骨周囲に気になる所見があります。

しかし、全身の緊張が非常に強い状態で、膝だけを追いかけても本来の問題を正確に判断できない可能性があります。

そこでまず、胸郭、後頭下筋群、頭蓋などを中心に、身体全体の緊張を整えていきました。

胸郭への施術後には、頭蓋の状態も最初より評価しやすくなりました。

そのうえで膝周囲の機能的な問題に対して施術を行いました。

施術後、立って歩いていただくと、その時点では膝の痛みを感じなくなっていました。

しかし、ここで私は「良くなった」とは判断しませんでした。


施術直後に痛みが軽減しても、その状態が続くとは限らないからです。


数日間、身体の変化をみていただくことにしました。


2回目――痛みが戻った。筋膜から考えてみる


次の来院時に膝の状態を伺うと、

「また元に戻って、両膝とも痛くなりました」

とのことでした。

ここが今回の症例の大きなポイントです。

施術直後には痛みを感じなくなった。

しかし、その後また戻った。

ということは、まだ別の視点から身体を考える必要があるのではないか。

そこで2回目は、筋膜のつながりを意識した施術を中心に行いました。

その結果、次回来院時には、

「最初の痛みを10とすると、左は3、右は5くらいです」

とのこと。

一定の改善がみられました。

しかし、痛みはまだ残っています。

ここで「やはり筋膜が原因だった」と結論づけることもできません。

筋膜への施術によって変化したことは、身体を考えるための一つの情報です。

では、なぜまだ痛みが残っているのか。

私はもう一度、最初から身体全体を評価し直すことにしました。


3回目――「最初の仮説」に固執しない


改めて、膝周囲だけでなく、僧帽筋、胸椎、肋骨、腸肋筋、骨盤、腹部、頸椎、頭蓋などを確認していきました。

胸郭は以前よりしなやかになっています。

一方で、身体全体にはまだ緊張が残っていました。

両肩はやや持ち上がり、立った状態では身体の軸が踵より後方にあるように見えます。

ここで私は、これまでとは少し違う仮説を立てました。

局所の筋膜だけではなく、

「現在のこの方の身体は、全身的な緊張状態が強いのではないか」

と考えたのです。

そこで3回目は、筋膜だけを中心にするのではなく、自律神経系や呼吸との関係も意識した施術へと方針を変更しました。

頭蓋、仙骨、胸郭、呼吸などを丁寧に確認し、残っている筋膜系の問題も補助的に整えていきます。

施術後、下肢全体を触診すると、施術前に感じていた緊張が明らかに軽減していました。

膝周囲に感じていた弾発感も少なくなっています。

立っていただくと、

「もう、なんともありません」

とのこと。

さらに確認すると、施術前にみられた肩の持ち上がりも軽減し、身体の軸にも変化がみられました。

この時、改めて感じました。

一つの組織だけを見ていてはいけない。


4回目――「たまに痛む程度」へ


その後、再び来院された時には、以前より表情も自然になっていました。

「その後、膝はいかがですか?」

と伺うと、

「たまに痛む程度になりました」

とのことでした。

最初の状態と比べると、大きな変化です。

一方で、

「身体全体が本来の調子ではない感じがします。スッキリしたいです」

というお話もありました。

そこで、今回も「膝がどうなっているか」だけで判断せず、改めて身体全体を確認しました。

僧帽筋や腸肋筋の緊張は以前より軽減し、骨盤の動きにも大きな問題はありません。

下肢全体の緊張もかなり少なくなっています。

左膝にはわずかな屈曲制限と中間広筋の緊張が残っていましたが、右膝には大きな問題を感じませんでした。

さらに腹部を確認すると、左腎周囲に気になる所見がありました。

そこに触れると、

「よく分かりますね。そこ、気になることがあります」

とのこと。

そこで、この日は左腎周囲、横隔膜、左下部肋骨、左中間広筋、頭蓋、仙骨、胸郭などを、その時の身体の状態に合わせて施術しました。

最後に胸郭を両手で包むように触れ、呼吸の動きを確認しながら、身体の緊張が変化していくのを待ちました。

「足が地面にくっついている感じがします」

施術後、もう一度立っていただきました。

身体全体の緊張感はさらに少なくなり、身体の軸にも変化がみられます。

そして患者さんから、

「足が地面にくっついている感じがします」

という言葉がありました。

その時点では、膝の痛みも感じないとのことでした。

初回来院時には、両膝の痛みだけでなく、身体全体に強い緊張がありました。

複数回の施術を通して、

膝周囲への施術↓筋膜へのアプローチ↓再評価↓全身の緊張や呼吸、自律神経系との関係を考えた施術

と、その時々の身体の変化に合わせて考え方と施術方針を変えてきました。

現在は当初の膝の症状もかなり落ち着いてきたため、今後は身体の状態を確認しながら定期的にメンテナンスしていく予定です。


今回の学び――「最初の仮説」に身体を当てはめない


今回の症例で、改めて感じたことがあります。

「筋膜の問題だから、筋膜だけを施術すればよい」とは限らない。

筋膜への施術によって、実際に痛みは軽減しました。

しかし、それだけでは十分ではありませんでした。

そこで、

推論する。施術する。再評価する。必要であれば仮説を変える。

この過程を繰り返しました。

そして再評価する中で、局所の問題だけではなく、身体全体に残っている緊張、胸郭や呼吸の状態などにも目を向け、自律神経系との関係も考えながら施術するという次の視点につながりました。

大切なのは、最初に立てた仮説に患者さんの身体を当てはめることではないと思っています。

患者さんの身体は、施術を受けるたびに変化します。

だからこそ毎回、

「今、この方の身体はどうなっているのか」

をもう一度診る。

今回の症例は、その大切さを改めて教えてくれました。

これからも、一つひとつの臨床を記録し、再評価しながら、日々の施術につなげていきたいと思います。

※本記事は一症例の経過をご紹介したもので、すべての方に同様の変化を保証するものではありません。膝の強い痛みや腫れ、外傷後の症状などがある場合には、必要に応じて医療機関で適切な検査・診断を受けることが大切です。


丸山オステオパシー治療院では、

症状だけを見るのではなく、

身体全体のつながりを大切にしながら評価と施術を行っています。


お困りの症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

ご予約・ご相談はこちら


このバナーをクリックしてLINE追加
このバナーをクリックしてLINE追加

症状についてのご相談やご予約は、

LINEからお気軽にご連絡ください。


📱友だち追加後、下記をお送りください。

【ご予約の方】

  • お名前

  • ご希望日時

  • お困りの症状

※ご相談だけでも構いません。



コメント


ご予約・お問い合わせはこちらから.png
丸山オステオパシー治療院のYOUTUBEチャンネル
bottom of page